SOMECITYとは 〜バスケで遊ぶ日本のストリートカルチャーを発信する集団〜
順を追って説明していくと、まず、SOMECITYとは・・・?
SOMECITYとは
現在日本で最大の「ストリートバスケットボールリーグ」。
ストリートバスケットボールのカルチャー発信を続けており、
開催は日本のHIP HOPの聖地と言われる「Club CITTA'(クラブチッタ)」で行われ、
HIP HOPを中心に流すDJと、激しいプレーを煽りつつ実況するポップなMCが会場を盛り上げる。
「バスケで遊ぶ」「スキルのぶつかり合い」「一体感の追求」を大切な価値観とし繰り広げられるその様子は、
バスケットボールイベントというよりも、クラブイベントに近い空気感を醸す。
だがルールは簡単。
ハーフコートの3on3で、得点が多い方が勝ち。
試合時間は8分の前後半。通常通り、2P、3P、フリースローなどのルールは同じ。
全国各地で東京で開催されるファイナルへ向けて予選が行われている。
東京、大阪、仙台、名古屋ではリーグ形式(総当たり)での予選、
青森、新潟、金沢、名古屋、滋賀、島根、岡山、長崎ではトーナメント形式での予選が日々行われている。
さて、そんなSOMECITYは単なる3on3ではなく、独自のルールからポリシーみたいなものまで存在している。
独自ルール
- ディフェンスの3秒ルールがある。
- ハーフタイム明けは、負けてる方のチームの攻撃で1度だけ1on1のチャンスが与えられる。(アドバンテージルールという)
- バスケットカウント1スローをもらった場合は、フリースローの後、また攻撃側のボールから再開できる。
3on3ならではのルール
- ファールの笛は中々鳴らない。
- 攻守交代時は一度3Pラインの外に出してから再開する。(これの阻害はNG
ほとんどが、会場を盛り上げたり、スキルのぶつかり合いを演出したりするためのルールである。
ファールが中々鳴らないことで、熱い1on1がバッチバチに繰り広げられ、
アドバンテージルールのおかげでゲーム展開が競り合うようになり、
ディフェンスがずーっと台形内に滞在して1on1がしづらいようにならないために、
設定されているルールである。5対5とは全然違うスキルが必要になるのである。
さて、SOMECITYの説明はこれくらいにして、
僕が観戦しに行った「NIGHT College」とはなんぞやというところ。
これは、大学生選抜(CS Parkオールスター)がそのSOMECITYオールスターに挑戦するという熱いトーナメント大会なわけです。
大学生の選抜はCS Parkというメディアを運営する株式会社大学スポーツチャンネルが選出している。
SOMECITYのメンバーは、3on3を生業としてバスケをやってきており、1on1には絶対的な自信があるメンバーばかり。
それに対して大学生は5on5がメイン。バスケをしてきた人ならわかるが、
大学までバスケを続けインカレなどで活躍し選抜される選手というのは、
相当なバスケエリートである。だいたいが中学や高校から有名選手であろう。
そんな彼らもまた、ストリートでやってる言わば"亜流"の人たちに負けるわけにはいかないわけです。
さて、この興行を見に行くとFacebookに投稿したところ、コメントで「感想を欲しい」といただきました。
この「感想」の意図を、
「5on5に比較して3on3ってどうなん?」と
「SOMECITYってそもそも盛り上がってんの?」という2つの意味として解釈し、
個人的な感想を書いていこうと思います。
3on3の見どころ
「ハーフコートしか使わない」「3人しかいない」と言うこの2つの違いが、様々な違いを生んでいる。
- おのずと1on1が多くなる。激しくなる。
バスケットボールは、5on5であろうが3on3であろうが、基本に立ち返ると全て1on1である。いかなるプレーも、有利な1on1の状況を作り確率高くスコアリングしていくためのプレーであり、バスケットボールの基本となる考え方である。
だが、5on5のバスケの場合、ハーフコート上に10人いるのでスペースがなく、そんな簡単に1on1ができない。そのため、おのずと(有利に1on1ができる状況を創り出すための)戦術的なプレーが展開される。
そうしてある程度ディフェンスをずらした状態で1on1を開始しないと綺麗に抜き去れない。
それほど台形内に人が多いのである。
一方3on3は、5on5に比べ、合計4名分のスペースが空いている。
なので、3on3の戦術は、最初っから1on1だ。誰に1on1をさせるか。5on5よりシンプルだ。
そして、3on3に出場するメンバーはそのことをよく分かって参戦する。
3人しかいないので、得点する気の無いメンバーは不要。
全員が「自分がスコアしてやる!」と殺気立っているのである。
激しい1on1が見れるのが3on3の特徴だ。そしてその1on1が寒い、ダサい1on1だと、MCが容赦なくDisるわ煽るわ。熱い1on1を観客も期待している。
SOMECITYならではの面白さ
- ディフェンス3秒ルール
SOMECITYで活躍するメンバーは、決してアメリカのNBAや日本のプロリーグであるNBLやbjリーグで見るような2mを超えるビッグマンばかりでは無い。むしろ、2mを超える選手はほとんど居ない。
先ほども説明した通り、3on3はバッチバチの1on1での得点がほとんどである。
それに加え、SOMECITY独自ルールである「ディフェンス3秒ルール」が、さらに1on1を面白くしている。
説明すると、3on3で台形内に2mが1人、ずっと立ってるとしよう。
激しい1on1があってドライブインしてきたとして、ビッグマンがズーンと立っていたら、スペースが生まれない。
よりスピード感と躍動感のある1on1にフォーカスしたルールなのだ。
つまり、ビッグマンがいても、外から切り込めるスピードスターを止めることはできない。
ビッグマンだとして、結局はスキルやスピードが求められるのだ。
- 会場の雰囲気が個の才能を解放する
SOMECITYの開催は、普段はクラブイベントで利用されるクラブチッタ。
音響設備や照明は完璧だ。チッタは他のクラブと比べて、天井が高く、フロアが広い上、ステージや2階席もあり、3on3の会場としては最適。加えて実は「ボールを使ってはいけない」というのがクラブの一般的なルールだが、チッタはOKだ。
説明しておきたいのが、3on3やストリートバスケはSOMECITY以外にも沢山ある。
オリンピック競技になりそうな3x3(読み方:スリーバイスリー)や、HOOPERS、NIKEが主宰するALL DAYなども5on5だがストリートだ。
これらとの違いは、やはりクラブイベントであることだ。
MrストリートバスケのMCであるMC.MAMUSHI氏が、選手をいじったり煽ったり観客と対話しながら実況し、
流行りで盛り上がる選曲をするDJがプレーに合わせて音を合わせ、
暗い会場とコートを照らす照明がアンダーグラウンド感を更に演出する。
(こちらが、MC MAMUSHI氏。髪型が日本語ラッパーのアナーキーに似てる。)
そして観客席はハーフコートを1周するように設置され、
観客の熱い視線を浴びるコート上の選手のボールテージは、
いつもの体育館の明るい木目調のフロアの上では感じられない高揚感に満たされ、
普段コーチや先生に怒られるようなプレーをしてもいいんだと気付き、
徐々に才能を開花させる選手も少なくない。
それを最も体現したのは、現在拓殖大学4年生でアーリーエントリー制度を使ってすでにbjリーグの島根スサノオマジックで活躍している岡本飛竜選手だ。
学生で最もSOMECITYを沸かせたのはこの男である。
上記記事に全て書いているが、簡潔にまとめると、
彼はバスケの名門延岡学園高校に進学したが、同世代に現東海大学4年生の元キャプテンであるベンドラメ礼生(レオ)選手がいることで、高校時代はセカンドガードだった。
しかし、中学生時代から有名選手だった岡本は、さらにストリートバスケによって、「バスケを楽しむ」ことを思い出し、才能が開花したのだ。そんな彼とベンドラメは大学の試合で直接対決を果たしている。
※ベンドラメ選手は同じくアーリーエントリーでNBLの日立サンロッカーズで既に活躍中。日立はNBLでも上位の強豪。
SOMECITYでの彼のプレーは、170cmに満たない身長から繰り出される卓越したハンドリングスキルと躍動感あるドライブが特徴。小柄だが80kgもあるゴツイ体を躍動させる彼のプレーは、会場を大いに沸かせ、今は中学生や高校生のボーラーの中では有名人である。
得点した後のパフォーマンスも人気の理由の一つだ。
高速スピンムーブからのレイアップと、シャムゴットクロスオーバーという5on5ではなかなか見ないプレーを紹介。
先日の琉球ゴールデンキングスvs島根スサノオマジックの試合にも岡本選手は出場していたが、個人的には、SOMECITYのコート上の彼の方が活き活きしているように見えるのは僕だけだろうか。笑
いずれにせよ、中高生が目指すスタープレイヤーが生まれてるのはすごくいい。
特に身長が低いというのが、更に支持を得ている要因だろう。
「僕も飛竜みたいになれるんだ!」と思う子供たちが増えている。
会いに行けるアイドルのAKBみたいな感じか。違うか。
この会場の雰囲気は、日本人に足りていないエゴや攻め気を開花させてくれる。
かなり話がそれたが、
「5on5に比較して3on3ってどうなん?」と
「SOMECITYってそもそも盛り上がってんの?」という問いに関してまとめると、
・激しく熱い1on1のスキルのぶつかり合いは3on3ならではの見どころ
・特にSOMECITYはクラブイベントの興行に近い。音楽、MC、暗がりの照明とハーフコートバスケとの相性は抜群。
・SOMECITY独自ルールにより、より魅せるバスケが展開される
・ストリートだからこそ大活躍する選手がいる
という感じでしょうか。
そして最後に、僕の意見として、
更に、このSOMECITYを楽しむために是非お願いしたいことを、ちょっとだけボヤいてみようと思います。
- お酒は欲しい。
なぜかお酒が飲めなかった。が、訂正・・・。
大学生のイベンド絡みだからか、お酒を控えていたっぽい。
普段は飲めます!飲み散らかしましょう!散らかすは余計か。盛り上がりましょう!
- ハーフタイムショーがあってもいい。
HIP HOPを始め音楽との相性がいい。そういう見せ物があってもいいかもしれない。ただで来てくれる人達で、盛り上がりを維持できる人達とかがベスト。数百人でパンパンになってるので、是非盛り上げに来てもらうのも売名行為としてはいいのではないか。
- 観客と1on1するとか、客を巻き込む”遊び”があってもいい。
これをハーフタイムや試合間にやってもいいかも。フリースローチャレンジ!とかでもいいし。成功したらballahoricシャツをプレゼント、女の子限定!とかやったら盛り上がりそう。
- MCマムシに日本語ラップを勉強してほしい(笑)
マムシさんは非常に声がラッパーっぽいので、実況&MCしてる時、たまに音に合わせてライムを吐き出し韻を踏んでくれたりしたら会場はさらにヒートアップするだろうと思いました。是非に!
おまけ:会場問題
日本のスポーツ興行につきものなのがこの会場問題。上記のお酒問題も、ハーフタイムショーも、時間の関係や会場の関係でできなかったりする。
あとは本当は会場も渋谷の方がいい。そんなことわかってる、と。
ボールが使えて、3on3ができるスペースと高さがあるところがない。
余談だが、スポーツの興行のベース収入はやはりチケット販売。
これは単純に、
試合数×収容人数×チケット単価=売り上げの上限
になるわけだ。
売上もそうだし、楽しませる演出もそうだし、お金はかかるがやりたいことはこれからまだまだたくさんあるけど、SOMECITYの盛り上がりはここ数年著しいので、特に女性の方々には一度足を運んで欲しいものです。
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